画像処理

5分でできる!ステライメージで星消し画像を作成しよう!

星を消したメシエ8(干潟星雲)の天体写真

ステライメージを使って天体写真から恒星を除去した「星消し画像」ができたので作成方法をアップします。

Starnet++やStarnet2などでの星消し画像をXでアップされている方々のを最近見ました(遅いねアンタっ(;’∀’))

星雲マスクで良いんじゃね?って思ってたのですが、興味本位でステライメージで同じような事ができないかなぁと思って一日試行錯誤。

そしたら結構いい感じに作成できたかもっ♪

星消しができると「星消し画像」と「星だけ画像」を別々に画像処理ができるんですね。

最後はそれを合成する。

星雲マスクと何が違うかと言うと、

  • 星消し:星雲と恒星を分離して別々の画像として処理して後で合成する若しくは星消し画像から星マスクや星雲マスクを作る
  • 星雲マスク:1枚物の天体写真の星雲だけに影響するマスクを作成して画像処理する

どっちが良いかはわかりませんが、星雲と恒星を分離して別々に処理する発想が今までなかったのでやってみると結構面白かったです。

星雲だけ処理できるので凄くやり易いしガンガン強調処理したくなる。

また、この星消し画像からいろんなマスクの作成ができそうです。

今回はステライメージ9で作成しましたがいろんなレタッチソフトで可能な気がします。

今日作成したばかりなのでまだまだ研究が足りません。

ステライメージ使いの方、感想やもっとこうした方が良いなどのご意見あれば是非コメント下さいませ。

ステライメージで星消し

ステライメージで星消し画像を作成する前にまずはビフォーアフターからどうぞ。

ビフォーアフター

M8(干潟星雲)の星消し画像ビフォーアフター(焦点距離約1238mm)

下記はM8(干潟星雲)を天体望遠鏡で撮影した焦点距離約1238㎜の写真のビフォーアフターです。

左側が星消し前のM8(干潟星雲)で右が星消し後です。

星消しビフォーアフター(M8干潟星雲)

左側が星消し前のM8(干潟星雲)で右が星消し後です。中心部付近を拡大しました。

星消しビフォーアフター中心部拡大(M8干潟星雲)

M8(干潟星雲)+M20(三裂星雲)+M21+火星の星消し画像ビフォーアフター(焦点距離約320mm)

下記はM8(干潟星雲)とM20(三裂星雲)とM21と火星をカメラレンズで撮影した焦点距離約320㎜の写真のビフォーアフターです。

左側が星消し前のM8(干潟星雲)+M20(三裂星雲)+M21+火星で右が星消し後の写真です。

星消しビフォーアフター(M8(干潟星雲)+M20(三裂星雲)+M21+火星)

左側が星消し前のM8(干潟星雲)+M20(三裂星雲)+M21+火星で右が星消し後の写真です。中央付近を拡大しました。

星消しビフォーアフター中心付近拡大(M8(干潟星雲)+M20(三裂星雲)+M21+火星)

天の川の星消し画像ビフォーアフター(焦点距離約73mm)

下記は天の川をカメラレンズで撮影した焦点距離約73㎜の写真のビフォーアフターです。

左側が星消し前の天の川で右が星消し後の写真です。

星消しビフォーアフター(天の川)

左側が星消し前の天の川で右が星消し後の写真です。中心部付近を拡大しました。

星消しビフォーアフター中心部付近拡大(天の川)

星消し画像の作成

星消しに使用した画像処理ソフトはステライメージ9だけです。

使用する画像はフラット補正をした天体写真とそこから作成した星マスク。

左がフラット補正済みの天体写真で右が元画像から作成した星マスク

星消しに使う天体写真と星マスク

フラット補正はフラットフレームがなかったので最近お気に入りの「ワンショットフラット補正」ができず、「セルフグラデーションマスクフラット補正」で処理しました。

星マスクは先日作成した記事「微恒星から大きな恒星までフォローする比較明合成を使った星マスク」を使って作成しました。

特に大きな恒星を綺麗にフォローしている星マスクがないと綺麗に処理できないので、なるべく上手に星マスクを作ってみて下さい。

今回使用するのは上のビフォーアフターで紹介した焦点距離320㎜の「M8(干潟星雲)+M20(三裂星雲)+M21+火星」です。

この天体写真で星消し画像の作成をしてみます。

元画像の最大値側の輝度

元画像の最も明るい輝度を255弱にして白飛びしないようにしておいて下さい。

その方が処理が速いです。

また「星消し画像」を作った後に「星だけ画像」も作りますが、その時に最大値側の輝度が255に近い方がそのまま綺麗に作成できます。

今回は火星のが一番明るかったので中心部を245~250位にしておきました。

星マスクの最も暗い部分の背景輝度が「0~2」位になるように最小値側だけレベル調整

今回は星マスクを作った後に背景が最も暗いと思われる箇所の輝度を確認すると「2」位でした。

レベル調整で背景の輝度をわずかに絞って「0」してみました。

って言ってもどこが最も暗いかはわかならにので適当にマウスポインターを当てて輝度を見ただけです。

ほんの僅かですので最小値側だけ少しずつ数値を増やして輝度を「0」にしました。

この時に最大値側はそのままの状態を維持しておいて下さいね。

背景輝度が高ければ高いほど星雲に影響してしまいます。

ほんの僅かなら星雲に影響してもノイズ処理みたいな効果になって滑らかになったりします(^▽^)/

レベル調整の最小値側を少し上げて星マスクの最も暗い場所の背景の輝度を「0」にしました。

星マスクの最も暗いと思われる場所の背景輝度を「0」する

恒星だけにミニマム・マキシマムフィルターとガウスぼかしを使う

元画像に星マスクを適応させ、恒星だけに影響する状態で下記の順に処理します。

  • ミニマムフィルター:「半径=2」
  • マキシマムフィルター:「半径=1」
  • ガウスぼかし:「半径=2」

すると元画像の恒星が若干暗く小さくなりました。

星消し処理を1回だけ行ったビフォーアフターです。若干星が暗く小さくなりました。

星消し処理1回目ビフォーアフター

左が元画像の恒星を拡大した画像で、右が星消し処理1回目です。

星消し処理1回目ビフォーアフター(恒星拡大)

これを複数回処理するだけです。

下記は約35回繰り返しました。

左が元画像のM8-M20-M21-火星の天体写真で右が星消し処理後です。

星消しビフォーアフター(M8(干潟星雲)+M20(三裂星雲)+M21+火星)

分かり易くする為に同じ量だけレベル強調してGIFアニメーションにしてみました。

星消し処理のビフォーアフターです。GIFアニメーションで天体写真を切り替え表示しています。

星消し処理ビフォーアフター(M8(干潟星雲)+M20(三裂星雲)+M21+火星)

何回除去処理するかですが、大きい恒星がそこそこ邪魔にならない程度になったら良いんじゃないでしょうか?

それと何回もやるの面倒なので僕は「ワークフロー機能」を使って半自動で処理するようにしています。

ワークフロー機能を使って半自動で除去処理する

ステライメージにはワークフローをコピーしてワンクリックで自動実行する機能があります。

僕は星消し用にいくつかのパターンのワークフローをコピーしていますので、それを実行すると半自動でラクチンです!

ワークフロー機能を使うと星消し処理が半自動で可能になります。

星消し処理をワークフローで半自動処理

僕は同じ処理を5回分、10回分などいくつかのワークフローを保存していたり、処理内容を変えた作業をいくつか保存しています。

1回準備しておけば後は凄く楽ちん♪

今回の星消し処理も5分もあれば終わります。

星消し用に数パターンのワークフローを保存しています。

星消し用のワークフローを保存しておく

処理設定はどうする?

今回ご紹介した3つの星消し画像の設定は下記のようにしてみました。

  • 焦点距離約1238mmのM8(干潟星雲):ミニマム「半径=6」→マキシマム「半径=3」→ガウス「半径=6」×10回セット
  • 焦点距離約320mmのM8(干潟星雲):ミニマム「半径=2」→マキシマム「半径=1」→ガウス「半径=2」×35回セット
  • 焦点距離約73mmの天の川:ミニマム「半径=1」→マキシマム「なし」→ガウス「半径=1」×10セット

何回もやってて思ったのが基本的にはなるべく小さい数字でやった方が良い感じですね。

焦点距離1238㎜の干潟星雲の写真は半径が小さいと処理回数が増えちゃうし、星像が大きいこともあり「半径=6」で処理してみました。

それとマキシマムフィルターはミニマムフィルターの半分の半径にしておくことですね。

天の川の写真は焦点距離が短く星像が小さ過ぎてマキシマムフィルターを掛けたら変化が少なかったので今回はやりませんでした。

単焦点以外はマキシマムも入れた方が綺麗になるかと思います。

またいろいろ試してみます。

星だけ画像を作成

「星消し画像」ができたら「星だけ画像」は簡単に作成できます。

元画像に星マスクを適応させて、恒星以外に影響するようにする為に反転させてから「星消し画像」を減算するだけです。

するとこんな風に星だけの画像が作成できました。

元画像から星だけの画像を作成しました。

星だけ画像

ただ、星マスクの最大値の明るさが255弱ですので、見た目ではわからないかもしれませんが元の星像より若干ですが暗くなって取り出されます。

必要なら星マスクを調整してから減算して取り出して下さい。

でもそもそも最後に星だけ画像を処理して小さく暗くしたりして最後に合成するので別段気にしなくて良いかと思います。

星消し画像の使い方

星消し画像の使い方はいろいろありそうです。

星消し画像の強調処理

天体写真から星を消して星雲だけにするとビックリするくらい処理が楽です(;’∀’)

そもそも星雲だけの写真なんて画像処理したことなかったので見た目だけでも新鮮です。

星のある画像のように白飛びを殆ど気にする部分がないのでスッキリ。

ついついガンガン強調してしまう感じです。

M8(干潟星雲)の星を消して星雲だけ色鮮やかに強調処理したみました。

M8(干潟星雲)の星を消して星雲だけ色鮮やかに強調処理してみた(やり過ぎ(;・∀・))

これなら分子雲など出したい時なんか良さそうですね。

ただ、星が無いのでどこまで強調して良いのか感覚がわかりにくい(;・∀・)

後で星だけ画像を合成して初めて雰囲気がわかる感じですね(;’∀’)

それと青ハロが出ている写真だとハロまで強調してしまうので、強調処理前に青ハロ除去をしておいた方が良さそうです。

下記のような除去方法もまぁまぁ効果あると思いますので良ければご覧下さい。

星だけ画像の画像処理

星だけの画像のヒストグラムがシンプル過ぎてワロタっ(;・∀・)

星だけ画像のヒストグラムはとてもシンプルです。

星だけ画像のヒストグラム

めちゃくちゃ見やすいですね。

恒星だけのRGB減算マスクを作ってカラーバランス調整すれば綺麗な恒星だけの画像が作れるので楽ちんですね。

また恒星を暗くしたり小さくしておくことで逆に星雲を目立たせることができるので最高です。

10秒でできる!星消し画像と星だけ画像の合成

星消し画像と星だけ画像を合成するのも超絶簡単!一瞬です!

残念ながらステライメージではまだできるかどうかはわかんないですが、スクリーン合成ができるレタッチソフトがあれば超絶簡単です。

僕はCorel PaintShopを持っているので、一旦fitsファイルをTiffに変換してからPaintShopでレイヤーマスクを使ってスクリーン合成しています。

PhotoShopはもちろん、その他のレイヤーマスクを使えるレタッチソフトがあれば恐らくどこか探せばスクリーン合成って出て来ると思います。

10秒で自然に綺麗に合成できます((´∀`))

星だけ画像と星なし画像をCorel PaintShopでスクリーン合成したM8(干潟星雲)です。自然に綺麗に合成できています。

星だけ画像と星なし画像をCorel PaintShopでスクリーン合成したM8(干潟星雲)

星雲マスクとして使う

星雲マスクとして使用するならイメージ沸く方も多いと思います。

  • モノクロ化して星雲マスクとして使う
  • 星雲だけのRGB減算マスクを作って使う
  • 青い星雲・赤い星雲など色別の星雲マスクを作る

いろんな使い方ができると思いますので画像処理の幅が広がりますね!

動画

ステライメージ9で天体写真から星を消す様子の動画を作成しておきましたので是非ご覧下さい。

星消し後の強調処理や星だけ画像をスクリーン合成する方法も載せています。

【動画】5分でできる!ステライメージで星消し画像を作成しよう!

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