新星景写真と言う星空(天体)を追尾しつつ地上固定の景色を現実の景色の位置に合成する星景写真の合成方法ですが、ステライメージ8だけでやってみたくて天体の画像処理を試行錯誤中です。
いろんなやり方があるような感じですが、一般的にはこっちの「ステライメージ8だけで新星景写真やってみた(比較明フレーム合成編)」方だと思いますが、簡単にできるシングルフレーム合成編も良いかと思います。
何が簡単かと言うと、シングルフレーム編は短時間露光(1枚辺り1秒~2分位)でしかできない新星景写真なのですが、比較明コンポジットしなくてできるし、あまり考えなくても簡単に撮影できるって事です。
ちなみに僕の一眼レフカメラはセンサーサイズがAPS-Cサイズなのでカメラレンズは18㎜だからFL換算約27mmとやや画角が狭いです。
ですがもっと広角な単焦点レンズなら更に露光時間を長くしても位置合わせがやり易いかと思います。
処理方法はステライメージ9でも同様です。
一回できると結構簡単にできますので一度やってみて下さい。
動画で見る方は下記からどうぞ
【動画】ステライメージ8だけで新星景写真やってみた!(シングルフレーム合成編)
新星景写真の撮影方法
新星景写真の撮影方法は赤道儀の上に雲台を付けてカメラをセットする必要があると思います。
対象物(天の川や星座など)をカメラの中央に入れてカメラの水準器で水平にする。
後は赤道儀を回転させて対象物のラインディングポジションを考えながら雲台を回転させて調整すれば良いと思います。
「東~南」「南中付近」「南~西」で若干撮影方法は若干違うと思いますので別途作成しますが、シングルフレーム合成編で撮影するのは追尾した星空と固定地上景色だけです。
合成に必要な写真
シングルフレーム合成編で新星景写真を合成する為に必要な写真ですが至って簡単です。
- ①位置合わせありで加算平均コンポジットした星景写真
- ②固定撮影した景色を位置合わせなしで加算平均コンポジットした地上写真
- ③撮影した星景写真の中から地上固定の景色と同じ位置の写真1枚(シングルフレーム)
この3種類を使って合成していきます。
今回のシングルフレーム合成編って言うのは「③撮影した星景写真の中から地上固定の景色と同じ位置の写真1枚(シングルフレーム)」を使うって事です。
今回は南~西に沈む天の川を撮影したので、最後に地上固定の景色を写真撮影しました。
ライトフレームも最後はこの画角(水平)なので、それを合成用に使った感じです。
合成手順
新星景色写真の合成は撮影した風景などによって画像処理の仕方が細かく変わってくると思うのですが、とりあえずやってみたいと思います。
今回はダーク減算とかやってないのでホットピクセルがプツプツありますが気にしないで下さい(^^;)
手順は
- シングルフレームに地上景色を合成する
- ライトフレームに合成したシングルフレームを合成する
- 合成した星景写真をマスクを使って画像処理
みたいなやり方・手順で新星景写真を合成していく感じでやってみます。
合成前の準備
合成を開始する前の準備を一応記載しておきます。
ライトフレームを位置合わせありで加算平均コンポジットする
メインの星景写真であるライトフレームを位置合わせありで加算平均でコンポジットしておきます。
今回は一眼レフカメラPENTAX KP(APS-C)で18mm-200mmのズームレンズを使ってFL換算27mmで撮影したISO6400/F4.5/1分/34枚を加算平均コンポジットしました。
シングルフレームを選んでノイズ処理する
ライトフレームの中から地上景色と同じ画角の景色の位置が殆どないフレームを1枚選んでシングルフレームとします。
このシングルフレームは1枚撮り星景となりますので、ライトフレームよりもノイズが多いです。
なので合成を自然にする為にノイズ低減処理を行っておきます。
ライトフレームとシングルフレームのホワイトバランスを合わせる
ライトフレームとシングルフレームはコンポジットしている写真としていない写真なのでホワイトバランスは完璧には一致しません。
一致しませんがだいたい同じにはできますので、合成を自然にする為にホワイトバランスを調整しておいて下さい。
地上景色の写真をコンポジットしてホワイトバランスを調整
地上景色は3枚だけ撮影しました。
地上景色は赤道儀を止めて固定撮影していますが、これを位置合わせなしでコンポジットしておき、ホワイトバランスを合わしておけば良いかと思います。
最後にマスクをしながら画像処理できるのですが、レベル調整程度なら軽くやっていても良いかと思います。
3枚の画像の位置を正確に合わせて画像サイズを揃えてトリミングする
3枚の画像の位置を正確に合わせて画像サイズを揃えておく事は新星景写真のめちゃ重要な点だと思います。
まずこの3枚の画像のサイズは位置合わせありの加算平均コンポジットしている画像がホントに若干ですが小さくなっています。
シングルフレームは1枚なのでそのままのサイズですし、地上景色は位置合わせはしませんのでそのままのサイズだと思います。
具体的にこの星景写真ではライトフレームは「5990×4000」でシングルフレームと地上景色の2枚は「6026×4026」と言う画像サイズです。
この画像サイズの大きさの違いが、これから行う合成において正確に合わせておかないと現実の星空と地上が全く同じにならない事になってしまいます。
凄く細かい事かもしれませんが、新星景写真は現実の位置に合わせてこそのものだと思いますので重要だと思います。
後から星で位置合わせすればいいんじゃない?と思うかもしれません。
僕もそう思っていたのですが、二値マスクの作成などで合成する時に位置をズラして合成を何度もしていく中でいろいろ不都合が出てきたんです。
なのでその画像サイズと正確な位置合わせを先にやっておきます。
まず、3枚の内の一番小さな写真(ライトフレーム)にシングルフレームを比較明で表示だけさせて位置合わせだけを行って位置ズレ量を確認します。
ライトフレームとシングルフレームの位置ズレ量は「X:-14」「Y:-7」でした。
次にシングルフレームを前に出してツールバーの「選択範囲」→「選択範囲設定」をクリックして設定画面を表示します。
設定画面の「サイズ」の欄に基準となるライトフレームのサイズ「幅=5990」「高さ=4000」と入力。
「左上」と記載がある部分の「X」に「14」、「Y」に「7」と入力します。
するとシングルフレームの内側周辺に点線の白い枠が表示されますので、そのままの状態でメニューバーの「編集」→「切り抜き」でトリミングします。
トリミングしたらライトフレームとシングルフレームを比較明で合成だけして位置を確認してみて下さい。
位置合わせをしなくてもピッタリ完璧に星の位置が合っています。
この「位置合わせトリミング」を地上固定写真にも行います。
地上固定写真は星が流れていて位置合わせができませんが、シングルフレームは地上固定景色と同じ位置のフレームを使用しているので、同じズレ量を入力してトリミングすれば正確に位置が合います。
ここまでできたら本題のシングルフレームの新星景写真の合成作業に入ります。
以後、位置合わせは一切せずに合成していきます。
ライトフレームにシングルフレームを合成する
ライトフレームへシングルフレームを白黒マスク(二値マスク)を利用して比較明合成していきます。
ライトフレームから白黒マスク(二値マスク)を作成
今回はライトフレームをソフトビニング10×10をしてサイズを小さくして処理をし易くして、ミニマムフィルタ「10」、ガウスぼかし「25」をしてからレベル補正で白黒分離(二値化)して反転させました。
完全に白黒分離させるには選択範囲で囲んでトーンカーブで明るさを落として、更に明るさ調整で明るさを下げて分離させています。
また、マスクの高さを変更するにはカブリ補正を縦向きに使うと調整できます。
ライトフレームのどの辺りまでマスクを掛ける必要があるかを確認しながら調整して下さい。
ライトフレームのマスクを使って比較明合成
ライトフレームから作成した二値マスクをライトフレームに適応させて、シングルフレームを比較明合成します。
今回はこのままでいきますが、合成した部分に明るさの差がある場合はマスクをしたまま明るさを調整して自然になるようにして下さい。
地上景色を合成する
シングルフレーム合成済みのライトフレームへ地上景色を合成していきます。
地上マスク大を作成する
最初に地上景色から「地上マスク大」を作成していきます。
「大」と言ってもほんの少しだけ微妙に大きいだけのマスクです。
なるべく景色の輪郭に沿ったマスクを作ります。
今回は地上景色を複製してモノクロ化し、ソフトビニングはせずにそのままでミニマムフィルタ「1」を5回行って、その後ガウスぼかし「5」をしてからレベル補正で白黒分離(二値化)して反転させました。
地上景色の星空の明るさを上げて白飛びさせる
後で乗算合成を使うのですが、その時に地上景色の星空部分の流れた星などが写らないように白飛びさせておきます。
「地上マスク大」を反転させて明るさを上げておきます。
境界線の少し上だけ白くなれば良いかと思います。
この地上景色と作成した「地上マスク大」を使って「比較暗」、その後「乗算合成」していきます。
「地上マスク大」を使って地上景色を比較暗合成する
「地上マスク大」を適応させて地上景色をまずは比較暗合成します。
先に比較暗合成する理由は後で乗算合成する時に地上景色内にライトフレームの星やその他の明かりが混じらないようにする為です。
これまで合成してきたライトフレームに「地上マスク大」を適応させて、比較暗合成して下さい。
「地上マスク大」を使って地上景色を乗算合成する
比較暗が終わったら続いてそのまま「地上マスク大」を適応させた状態で「乗算合成」します。
乗算って言うのは2枚を合わせた濃度にすることなのですが、そうする事で合成部分が濃くなります。
でもこの乗算によって境界線が凄く自然になるんです。
とにかくやってみます。
乗算を利用して合成すると星景写真の境界線が凄く自然で、アップにしても合成だとはわからないんじゃないでしょうか?
ただ、これだけだと地上景色が濃くなっていますので、境界線以外のところを普通の景色に戻します。
「地上マスク小」を作成する
乗算で境界線を自然にしたら、次に「地上マスク小」を作成します。
「地上マスク小」は地上景色よりやや小さくしつつ、レイヤー風に仕上げます。
地上景色を複製してモノクロ化し、軽く処理できるようにソフトビニング10×10で画像を小さくしてからマキシマムフィルタ「10」程度をしてからガウスぼかし「10」としてレベル補正を使って白黒分離(二値化)して反転させました。
「地上マスク小」を使って地上景色を比較明合成する
「地上マスク小」ができたら、これまで合成してきたライトフレームに「地上マスク小」を適応させて地上景色を比較明合成します。
地上景色は合成されましたが明るさが合っていませんので調整して自然にします。
「地上マスク小」を使って明るさを調整して自然にする
そのまま「地上マスク小」を適応させたまま明るさを下げて自然になるように調整します。
一応これで新星景写真のシングルフレームの合成手順は終了です。
合成直後はこんな感じです。
容量が大き過ぎるのでweb用に「5999×4000」から「4000×2671」にリサイズしています。
シングルフレームの合成でも結構自然じゃないでしょうか?
この程度の総露出時間だと比較明バージョンとそんなに大差ないように思ったりもします。
合成ができたら次は画像処理をしていきます。
新星景写真の画像処理
画像処理についてはシングルフレーム合成編も比較明フレーム合成編でも同じです。
フラット補正は青空フラットでそもそも処理した物を合成しておいても良いですし、合成後にソフトビニングフラット補正をしても良いかと思います。
今回はとりあえずレイヤーマスク2種類と星マスクとガウスぼかしマスクの4種類を使ってトーンカーブやノイズ処理、色彩強調などを行ってみました。
画像処理に使ったマスクはこんな感じです。
こういったマスクをいろいろ組み合わせて画像処理した結果が下記です。
ステライメージ8だけで画像処理していますが、Adobe PhotoShopやCorel PaintShop、その他の選択ツールを使えるレタッチソフトを併用するともっと簡単にできるかもしれません。
比較明フレームで合成する新星景写真は下記からどうぞ。
- ステライメージ8だけで新星景写真やってみた(比較明フレーム合成編)
シングルフレーム合成編でも十分綺麗だし簡単ですがどっちが良いのかなぁ?
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何度も書き直してすいません。
ようやく落ち着きました(;・∀・)
動画も後程作成し直します。
3回目ですが(;・∀・)