何百枚もの天体写真を自動コンポジットすると位置ズレで失敗する事があると思います。
そんな時は「分割コンポジット+基準点指定」で自動コンポジットをすればエラーになった時のストレスが減ります。
下記も併用するとエラーになる事がなくなってくると思います。
「分割基準点自動コンポジット」は若干手間かもしれませんが、ほぼ確実に位置が合うのでおススメです。
位置がズレる原因の殆どは、
- 1.「天体写真が明る過ぎて恒星と背景の認識ができない場合」
- 2.「カメラレンズにガタがあって総露出時間が長い場合」
1つ目の「天体写真が明る過ぎて恒星と背景の認識ができない場合」については、下記の方法でエラー無く自動コンポジットが成功します。
2つ目の「カメラレンズにガタがあって総露出時間が長い場合」については、特にズームレンズの場合なのですがこの方法を取らないといけなくなると思います。
30分未満なら普通の自動コンポジットで良い場合が殆どだと思います。
原因については最後に記載するとして、まずは分割基準点自動コンポジットの方法を記載していきます。
分割基準点自動コンポジット
分割基準点自動コンポジットは分割自動コンポジットをした後にコンポジットした数枚の写真を基準点指定でバッチコンポジットをする形です。
例えば100枚のRAWファイルがあったとしたら、一度に自動コンポジットするのではなくて、1~20枚、21~40枚、41~60枚、60~80枚、81~100枚と分割して5セット作る。
若しくは50枚×2セット、25枚×4セットなどを作る形です。
この出来上がった数セットは更に自動コンポジットするのではなくて、「バッチ処理で基準点指定で自動コンポジット」若しくは「手動コンポジット」していきます。
すると確実に位置が合います。
では、ステライメージ8での手順を記載しておきますが、ステライメージ9でも全く同じです。
分割自動コンポジット
まずはRAWファイルをトーナメント方式で自動コンポジットしてきます。
この場合注意する必要がある点は、
- 1セットの総露光時間を最大30分程度にする
これがポイントです。
相当なガタがあるカメラレンズなどでしたら、総露出時間を20分などにしてみて下さい。
お使いのカメラやレンズ、撮影当時の赤道儀の向きによって変わりますが、経験上総露出時間が30分程度なら多くの方は大丈夫だと思います。
80枚なら「40枚×2セット」「20枚×4セット」「10枚×8セット」などですね。
端数が出るファイルは削除して均等にしても良いかと思いますし、全部のファイルを使用しても良いかと思います。
今回はISO6400×30秒×120枚の天の川の星景写真をトーナメント方式で自動コンポジットしてみます。
- 1セット目=60枚=総露出時間30分
- 2セット目=60枚=総露出時間30分
で、結果2セット総露出60分のコンポジットファイルが出来上がりました。
ホワイトバランスが合っていないのである程度合わせておく方が良いかと思います。
ホワイトバランスについては下記を参照ください。
基準点指定で自動コンポジット
次に出来上がった2セットのコンポジットファイルを基準点指定で自動コンポジットしていきます。
もちろん手動コンポジットでも結構ですが、基準点指定の方が楽かと思います。
更に自動コンポジットをしてしまうと位置が合わない事が出てきますので、基準点指定自動コンポジット若しくは手動でコンポジットして下さい。
編集バーから「基準点指定」をクリックしておきます。
次に拡大して適当な星を選んで左クリックしながら1点目を指定します。
更に少し離れた距離になる星を選んで2点目を指定します。
2点目を指定する時は「Shift」を押しつつ左クリックしながら指定して下さい。
全てのセット(今回は2セット)に同じ星を選んで基準点を指定しておきます。
次にツールバーの「バッチ」→「コンポジット」でバッチコンポジット設定画面を出します。
設定は「位置合わせ」を「基準点」として、「コンポジット」を「加算平均」若しくは「加算平均(σクリッピング)」に変更しておきます。
※コンポジット枚数が少ないのでσクリッピングでも直ぐにコンポジットが終わるので人工衛星消しも超楽チンです。
設定画面右下の「コンポジット実行」をクリックするとバッチコンポジットが実行されて新しいファイルが表示されますので、これで完了です。
バッチコンポジットで出来上がった新しい写真を拡大して見ると位置はピッタリ合っています。
これでこの分割基準点自動コンポジットは終了です。
続いて位置がズレる原因について記載しておきます。
自動コンポジットで位置がズレる大きな原因
自動コンポジットで位置がズレて合わない原因はいくつかあるのですが、ようやく原因が判明しました。
ほとんどの人がこの2つが原因じゃないかと思います。
- 1.天体写真が明る過ぎてソフトが恒星と背景の認識ができない場合
- 2.カメラレンズなどにガタがあって総露出時間が長い場合の場合
天体写真が明る過ぎてソフトが恒星と背景の認識ができない場合
1つ目の天体写真が明る過ぎてソフトが恒星と背景の認識ができない場合に関しては、RAW現像時にレベル補正で背景をある程度切り詰めておくと自動コンポジットに成功するようになります。
ほとんどの場合はこれでエラーが解消されると思いますので、下記の記事をどうぞ。
ただ、上記以外にカメラレンズ、ズームレンズのガタが原因の場合もある事に気が付きました。
カメラレンズのガタが原因
で、2つ目の「カメラレンズなどにガタがあって総露出時間が長い場合」などにコンポジットに失敗するという事もありました。
その理由や原因を書いておきますが、一言では説明しずらいので僕が気が付いた事から順に説明してきますね。
1枚目と120枚目の2枚だけ手動コンポジットしても位置が合わなかった
1枚辺り30秒を120枚撮影した総露出時間60分のいて座付近の星景写真を撮影しました。
その1枚目と120枚目だけに注目してみます。
この2枚を手動で位置合わせをしてコンポジットしてみたんです。
すると、手動でコンポジットしているにも関わらず位置が合わないんです!
回転させても何をしても位置が合わない!
どれだけ調整しても位置が合わないんです!
つまり、
全く同じように撮影したのに星の位置が違うって事に気が付きました。
んな訳ないじゃん!?バカじゃないの?って思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、もし自動コンポジットで位置が合わない場合はご自身の写真で確認してみて下さい。
何をやっても星の位置が合わない様子の動画は下記をご覧下さい。
【動画】天体写真の自動コンポジットで位置がズレる最も大きな原因はカメラレンズのガタ
原因はカメラレンズなどのガタ
全く同じ写真のはずが星の位置が微妙に違っている原因は
カメラレンズの場合は
- ズームレンズの伸縮する筒のガタ
- カメラレンズマウントのガタ
天体望遠鏡の場合は
- ピントチューブのガタ
- 樹脂製ピントチューブでの歪み
- ピントチューブのロックし忘れ
- カメラレンズマウントのガタ
- 光軸のズレ
このような事が原因だと思います。
どうしてガタがあると星の位置が変わるかと言うと、赤道儀で追尾している事で常にカメラレンズや天体望遠鏡は角度が変わっていくからです。
こんな感じです。
こんな感じで撮影開始時と終了時の赤道儀に載せたカメラの位置(角度)が変わっていくので、ガタがあると光軸がズレてくるんです。
これに気が付きました。
これってガタだけではなく周囲の大気の状態も多少は影響していると思うのですが、殆どはこのガタが原因だと思うんです。
なのでそのガタをなるべく減らす為に、僕はズームレンズにビニールテープやフィルムを3点ずつ挟んでガタを減らすようにしています。
こうすることでガタが減るので位置ズレがしにくくなります。
ファインダー脚などを付けて固定しても良いと思いますし、いろんなカメラレンズに対応した下記のマウントフォルダーを取付けても良いと思います。
ガタがある機材で総露出時間が長いとコンポジットで位置が合わないエラーが出てくるので、是非とも一度お試しください。
これに気が付いて現在100%位置が合ってます!
分割基準点自動コンポジットでした。
分割してコンポジットするのは面倒だって方は、下記をお試し頂くことで1度でミスなく自動コンポジットで位置が合う確率が高まります。
現状僕的には、
- ズームレンズの場合は分割基準点コンポジットを併用
- 天体望遠鏡の場合はRAW現像でレベル調整してから自動コンポジット
と言う感じにしています。
P.S 分割してコンポジットした場合の画質は問題ないのか?原理的にわからないので何か意見をもらえると助かります。
それとベテランさんがズームレンズを使用せずに「望遠レンズ」や「通しズームレンズ」を購入する意味も少しわかった気がします。
タムロンかシグマの望遠レンズ欲しくなってきた。
スポンサーリンク
スギチャンへ
それは良かったです!
初心者です、参考になりました。