撮影機材

初心者におすすめな赤道儀の選び方

赤道儀のおすすめな選び方

天体写真を綺麗に撮るには赤道儀がおすすめです。

しかし、初めてこういう撮影機材を購入する方にとってはどれが良いのか選ぶのが難しいと思います

また、購入してから失敗した!?って事が無いようにしたいものです。

なので、赤道儀の選び方として僕が実際に使用していて思う事を書いておきますので天体撮影の参考にしてみて下さい。

カメラも大事ですが、天体写真は赤道儀があると超楽チンです。

赤道儀の種類

天体写真に拘りだすと赤道儀が欲しくなってきますよね。

「赤道儀」と言えば昔は赤緯赤経共にモーターが付いた物が普通でした。

しかし、今では「ポータブル赤道儀」や赤道儀が無くても自動追尾ができる「アストロレーサー」と言う機材も出てきたので、星を自動追尾する機材は3種類に分類できると思います。

一応それぞれの特徴を書いておきますね。

オールマイティな赤道儀

赤道儀と言えば、僕的には赤緯赤経共にモーターが付いた物が普通です。

こういう赤道儀ですね。

ビクセンSP赤道儀スーパーポラリスと三脚を取り付けた状態です。

ビクセンSP赤道儀スーパーポラリスと三脚

赤緯赤経共にモーターがある事によって、天体の位置情報が入ったコントローラーで検索したい恒星やメシエ・NGC・IC・惑星・月などを自動導入・自動追尾できるようになります。

自動導入は星図を見なくても容易に天体望遠鏡やカメラの視野の中に設定した天体が導入されるので非常に便利です。

天体は写真で撮らないと見えない物がたくさんありますから、手動で視野に導入するのは手間と時間が掛かる作業です。

また、コントローラーが対応していればPCにも接続できるので、オートガイド(更に精密な追尾)やいろんな天体ソフトを多用して観測・撮影・コントロールができます。

ですので多種多様な天体観測・天体写真が撮影できますので、オールマイティな赤道儀と言った感じです。

撮影地で良く見るのはビクセンのGP2赤道儀ですね。

搭載重量が7kgなので、僕みたいな15cm反射望遠鏡なら十分搭載できます。

凄く良さそうなので僕もその内買おうかと思っているのですが、もう生産終了しているので在庫が無くなったら中古品を探さなくちゃいけなくなりますね。

ただ、人気なので中古品もなかなか出てこないかも。

ちなみに先日親戚がこのGP2赤道儀を中古で購入したのですが、焦点距離1000mmで1分程は追尾できるので精度は十分でした。

ただ、ステッピングモーターじゃなくてDCモーターなのでオートガイド向きではないかと思います。(モーターについては後述します)

でも、こういうオールマイティな赤道儀は普通単体では購入しません。

初めて購入される場合は、基本的に自動追尾コントローラーや三脚などがセットになったスターターキッドみたいなセット物を購入する方が良いですね。

セット物だと今は何が良いんでしょうね。

こういうメーカーから自分の積みたい望遠鏡に合わせて積載重量を確認しながらコントローラーもセットになった物を購入する形ですかね。

ただ、こういうオールマイティな赤道儀は自分で撮影地で現物を見せてもらったり、実際使ってらっしゃる方の意見を良く聞いて購入される方が良いと思います。

若しくは、天体に詳しい天文ショップで十分相談して購入する方が良いと思いますよ。

僕ならまずKYOEIさんに電話してみるかもしれませんね。

KYOEIさんは赤道儀のスターターキットをたくさん用意してくれています。

最初はこういうのから選ぶのが良いかと思います。

初めて赤道儀を購入するなら何もわからない状態で安易に通販でポンッと購入するのは止めておいた方が良いように思います。

詳しい人たちの意見をたくさん聞いていくと徐々に欲しい赤道儀がわかってくると思いますので焦らずじっくり選んでもらえたらと思います。

その辺りのポイントは後半にご説明しますね。

ポータブル赤道儀(ポタ赤)

ポータブル赤道儀(ポタ赤)は、赤経のみにモーターが取り付けられた赤道儀です。

赤経にしかモーターが取り付けられていない為、普通の赤道儀のように天体の自動導入はできません

しかし、一度手動で導入した天体は自動追尾できます。

天体は日周運動で移動していきますので、赤経モーターだけあれば追尾はできるんですね。

自動導入はできないけど、追尾はしてくれると言うのがポータブル赤道儀。

ですので、カメラで星野・星景を撮る場合はポータブル赤道儀で十分だと思います。

天体望遠鏡で天体写真を撮る場合は自動導入が無いので少し不便になりますが、小型望遠鏡なら搭載可能な物がいろいろあります。

代表的なのは「ビクセンのポラリエ」「ケンコーのスカイメモS」「ナノトラッカー」ですね。

アマゾンでも安価で販売されています。

一眼カメラで星空撮影ならこれで十分です。

ちなみに僕はポタ赤で星景写真だけじゃなくて300mmとかの星野写真や小型の天体望遠鏡も取り付けて撮影してみたかったので、重量に余裕があるスカイメモSスターターセットⅡを購入しました。

赤道儀を使わない自動追尾

赤道儀を使わずに天体の自動追尾ができる「アストロレーサー(GPSユニット O-GPS1)」と言う機材がリコーから発売されました。

「アストロレーサー」はカメラ上部に小さな「O-GPS1ユニット」ってのを取り付けて星の追尾をする代物です。

カメラの手振れ補正とGPSによって、赤道儀なしで星の短時間追尾をする機材です。

よって、広角レンズなら数分、200㎜などのレンズでは数十秒ですがカメラ単体で星の追尾ができるお手軽な機材です。

三脚も何でもいいですし、普通に景色を撮るようにしてアストロレーサーを取り付けたカメラを天体に向けるだけ。

びっくりする位お手軽追尾なので、赤道儀を持ってても1つ持っておきたい位の機材ですね。

当然星の自動導入はできませんし、できるのは短時間の自動追尾のみ。

気軽に三脚を立てて星野・星景写真を撮れる赤道儀もどきです。

リコー(PENTAX)の手ぶれ補正機構SR(Shake Reduction)機能があるカメラに取付けられます。

一眼カメラで星空追尾するのはアストロレーサーが一番安いんじゃないかと思いますが、全然普通に星の追尾をしてくれます。

僕は持ってませんが、撮影地で良くアストロレーサーで撮影されているのを見ます。

撮った星空写真を良く見せてもらいますが、普通に追尾できてるのが凄いですね。

200mm~300mmの望遠レンズでオリオン大星雲やアンドロメダ銀河、彗星なんかも皆さん撮影されています。

昔じゃ考えられないです。

天体撮影は手軽さもめちゃ重要ですからね!

しばらくは一眼カメラで短焦点星空撮影や200~300mmのカメラレンズだけであるならば、PENTAX KPとO-GPS1ユニットなんて最高じゃないですかね!

amazonで見ても結構安いですね。

赤道儀の選び方

赤道儀を選ぶ時に僕が考える事を記載してみようと思います。

ここから説明するのは普通の赤緯赤経にモーターが付いている赤道儀の事です。

普通の赤道儀で考える事で、ポータブル赤道儀やアストロレーサーの事もわかると思いますので。

天体望遠鏡を選ぶ

赤道儀を選ぶ上でまず考えなければならないのは、どんな天体望遠鏡を使用するかです。

カメラ単体や小型望遠鏡であればポータブル赤道儀などを選んでも良い訳ですが、そこそこの天体望遠鏡を使用するなら普通の赤道儀を選ばなくてはなりません。

天体望遠鏡は屈折式・反射式・シュミットカレグレン式など、焦点距離や口径などもいろいろある訳ですが、特に重さが非常に重要になってきます。

天体望遠鏡の重さによって赤道儀を選ばなくてはならない訳なんです。

小さな赤道儀に大きな望遠鏡を取り付けても、その重さに対応していない赤道儀であれば天体を追尾し切れません。

もちろん目視だけと言うならそんなにシビヤな事は気になりませんが、天体写真を撮るとなると話は別です。

実際に赤道儀を使って天体写真を撮影しているとわかるんですが、赤道儀はちょっとしたバランス調整不足でも綺麗に星が点にならないものなんです。

天体の追尾と言うのは繊細で、バランスが悪いと精度の悪い追尾となってしまって星が線になってしまいます。

星を点にすると言うのは非常にシビヤな物です。

赤道儀のバランスについては下記を参考にして下さい。

なので最初にどんな天体望遠鏡を使用するかを決める必要があります。

そしてその天体望遠鏡の重さを確認する必要があります。

もしどんな望遠鏡にするかを悩んでいるなら、下記を参考にしてみて下さい。

搭載可能重量で選ぶ

天体望遠鏡が決まれば、次に考えるのは赤道儀の搭載可能重量。

赤道儀の重さ自体じゃなくて、どれだけの重さの機材に対応しているかってことですね。

これ非常に重要です。

カタログでは大体

  • 搭載可能重量:不動点より25㎝で8.5㎏(モーメント荷重250kg・cm)

とか書かれていると思います。

不動点とは、赤道儀の赤経と赤緯の回転する部分の中心点と考えると良いかと思います。

不動点から25㎝と言う事は、不動点から上側(望遠鏡を載せるところ)に25㎝と言う意味。

赤道儀の不動点から25cmを表した画像

不動点から25cm

例えば、上記のスペックの赤道儀に重量8.5kg口径10cmの天体望遠鏡を取り付けた場合、その望遠鏡の中心と不動点の距離が25cmであれば、8.5㎏まで可能と言う事。

この赤道儀に同じく8.5kgで口径20㎝の天体望遠鏡を取り付ければ、不動点は5㎝長くなるので8.5kgはスペックオーバーになります。

荷重モーメントは望遠鏡の長さが長くなる程負担が掛かりますが、荷重モーメントを見るよりも搭載可能重量を見れば良いと思います。

搭載可能重量を考える時には、

  • 天体望遠鏡の重量
  • カメラの重量
  • カメラアダプターの重量
  • フードの重量
  • ヒーターの重量
  • 将来オートガイドを使用した場合の重量

などを考慮する必要があります。

となると、ご自身が選んだ天体望遠鏡の重量よりも多くの重量を搭載できる赤道儀を選んだ方が良い訳ですね。

重量に余裕があればある程安定しますが、搭載可能重量が大きくなればなる程価格が高くなりますので、数kg位は余裕がある位を選べば良いと思います。

例えば、天体望遠鏡6kg+カメラとアダプター1kg+フードとヒーターが800gで使用する予定なら合計7.8kgなので最低でも搭載積載重量が8kgの赤道儀を選ばなけらばなりません。

更に将来オートガイドを取り付ける予定もあれば、10kg位に耐えられる赤道儀を選ぶ必要があります。

※カタログの積載可能重量は、タカハシ製作所やビクセンなどの国産メーカーは信頼できますが、海外メーカーの赤道儀は過度な積載可能重量を記載している場合も稀にありますので、実際に使用している方のレビューなどをチェックしてみる事をおすすめします。

自動導入コントローラーを選ぶ

天体自動導入コントローラー「ビクセンスカイセンサー2000PC」一式です。

天体自動導入コントローラー「ビクセンスカイセンサー2000PC」一式

赤道儀を購入する際にはコントローラーが付属されていると思います。

その際、ただ単に上下左右にコントロールできるだけの簡易なコントローラーだけの場合もあります。

しかし、天体望遠鏡を使用する場合は拡大率が高いので天体を自動導入できるコントローラーを購入する方が良いでしょう。

見えない天体は数多くありますので手動導入は極めて面倒です。

ですので赤道儀と望遠鏡を購入して天体写真を撮影するなら、自動導入コントローラーを選ぶ事をおすすめします。

PEC機能があるコントローラーを選ぶ

自動導入コントローラーにPEC機能が付いている赤道儀(コントローラー)を選んで下さい。

PECとは、「Periodic Error Correction(周期的エラー訂正)」の略。

赤道儀はギアが噛み合って回転する訳ですが、そのギアの精度のムラによって回転ムラが生じます。

この回転ムラを記録して、動きを修正するのがPEC機能です。

PEC機能があれば、更に星を点にできるようになるのでお勧めです。

赤道儀の追尾精度を表すのに「ピリオディックモーション」と言う指標がありますが、だいたいピリオディックモーションは±4~±10くらいだと思います。

当然精度の高い赤道儀が高価ですが、別にピリオディックモーション±10でもPEC機能があればかなり精度よく追尾できるようになりますので、精度を求める前にコントローラーにPEC機能があるかを確認してみて下さい。

初心者の方なら低価格な赤道儀でもPEC機能があればかなり良い追尾ができるのでおすすめです。

パルスモーター(ステッピングモーター)の赤道儀を選ぶ

とにかくパルスモーターを選んで下さい!

赤道儀にはモータードライブが入っています。

大きく分けると2つの種類があります。

  • DCモーター
  • パルスモーター(ステッピングモーター)

DCモーターは古い赤道儀に付いているモーターで、僕の赤道儀もDCモーターです。

現在の赤道儀は殆どパルスモーターだと思います。

なので、そんなに気にしなくてもパルスモーターに当たると思うのですが、赤道儀を選ぶ時には一応知っておいて下さいね。

で、DCモーターとパルスモーターの赤道儀の違いで僕が断然パルスモーターが良いと思う理由は、

  • 微調整のコントロールができる
  • 静かである
  • モーターを動かした時の振動がない
  • PEC機能がきちんと正確に補正される

と言う点がハッキリわかります。

DCモーターだと振動はあるし、微調整が効きにくいし、音が大きい。

そして更に大きな点として、DCモーターだとPEC機能があまり使い物にならない気がするんです。

PEC機能を有効にすると、モーターがちょこちょこ動くようになるんですが、その時に振動が出るので天体写真を撮影していると振動で星がブレます・・・

一眼カメラなどで広角レンズで撮影しているなら問題ないでしょうが、そもそも広角レンズならPECなんて有効にしなくても良い訳なんですよね。

PECは長焦点距離の時に欲しくなる機能ですから、その時に振動すると困る訳です。

なので、PEC機能もパルスモーターの赤道儀じゃないといけないと思うので、是非ともパルスモーター(ステッピングモーター)の赤道儀を選んで下さいね。

僕が次に赤道儀を買うなら絶対にパルスモーターの物を選びます。

まとめ

赤道儀選びで何が一番大事かって言えば、「ちゃんと追尾して星が止まっているか?」です。

僕が使ってる赤道儀(ビクセン SP赤道儀 スーパーポラリス)の場合はオートガイドなしで焦点距離1200mmで45秒~1分は星が確実に止まっています

それ以上やると星が微妙に点じゃなくなるコマが出てきます。

焦点距離1200㎜の1枚45秒露光で100枚写真を撮影すると、5コマ位若干流れるかなと言った感じです。

実はこれって結構性能が良いらしいんです。

詳しい方たちに聞くと、昔の日本製の赤道儀はかなり追尾精度が高かったようで今でも中古を探す方がいらっしゃるとか。

僕のはDCモーターなのでおススメしませんが、僕みたいにオートガイドなしで高感度多枚数コンポジットならこういう古い日本製の赤道儀でも全然大丈夫ですけどね。

ちなみに僕の親戚が使っているアトラスEQ-G赤道儀は1200㎜で45秒も追尾できません。

15~20秒で流れるかなぁと言った感じ。

でもオートガイドをすればそんなの関係ない訳ですね。

オートガイドであれば赤道儀がステッピングモーターなら追尾性能はあんまり関係ないです。

僕もまだ初心者なのでオールマイティな赤道儀に関しては少ししか数を扱ったことがありませんので、最近の良い赤道儀をおススメする自信がありませんので実機の紹介は控えます。

また僕が良い赤道儀を購入したらご紹介したいと思います。

では、初心者におすすめな赤道儀の選び方でした。

天体写真は赤道儀があると一気に幅が広がります!

スポンサーリンク

天文ファンやカメラが趣味の方はシェア&フォローをよろしくお願いします!

天体写真ナビ

コメントを残す


CAPTCHA